【人力刀剣乱舞】流i星i群【へし切長谷部】の後書きのような何か
この度は拙作をご覧頂き誠に有り難う御座いました。
いつもは拙い自作一枚絵なのですが、1番のみの動画でこの曲における私のイメージは出し尽くしてしまった状態でフル音源に添える為の納得のいく絵がどうにも描けない!となりまして、今回は動画絵の募集をかけさせて頂きました。
BOBO様には制作途中のフル音源を聴いて頂き浮かんだイメージを描いて頂くことにしまして、こちらから構図や色調や差分の依頼は特にお願いしませんでしたが、頂いたフォルダを開けてみたら美しい絵が何枚も入っていまして、リアルに「か…かみさま…」と震えながら呟いてしまいました。なにぶん募集をかけた時点で制作日数1カ月も無かったので、まさか差分まで描いて頂けるとは思っていなかったのです。
しかしながら、折角こんなに美しいイラストを描いて頂いたものの、私の動画編集スキルでは活かし切れないかもしれない…!と思い、どのような意図でこのような動画になったのかをこのブロマガでおおまかに補足説明させて頂きたいと思います。
(※以下、個人の解釈を多分に含みますので読み進めていってもしも解釈違いだな…と思ったらそっとウィンドウを閉じて忘れて下さい)
まず、全体の構成として、長谷部の来歴と歌詞とをやんわりとリンクさせたイメージになっています。
1番の前半は「心を与えて 貴方の手作りでいい」
織田信長に名前を付けてもらったことで刀身にぼんやりと宿っていた魂が目覚めた頃、
「泣く場所があるのなら~貴方が触れない私なら無いのと同じだから」
折角付喪神としての自我に目覚めたものの、下賜されて名付け親のもとを離れることになり、悲嘆に暮れます。遠ざかる信長に向けて訴えるようなイメージでサビの声量は(私にしては)かなり思い切って上げています。
「曖昧なだけの日々も 何処まで私を孤独(ひとり)に」
黒田家に移って、黒田家の家宝だけれど「信長が名付けた、信長から賜った刀」として逸話としての重きがまだ信長寄りでどこか位置付けがふわふわとしたままの月日が過ぎていくイメージを星空の差分で表しています。
また、2番の前半は曖昧さや1番での悲しみを考えてなるべく柔らかい音素を選択しています。1番のサビと比べて少し覇気が無く、黒田家に渡ってから人を斬る機会も無い穏やかな日々をイメージして頂けたらなと思いながら調声してみました。
「微かな振動でさえ 私には目の前で溢れるものへと響く」
長政様に銘を入れてもらって「黒田筑前守の刀」として定まったイメージを表現したくてここで刀身本体を可視化、再び目を覚ました表現にしました。
「奇跡など一瞬で~貴方に触れない私なら無いのと同じだから」
そうして慕っていた長政様も人間なので天寿を全うし、長谷部は信長に続きまたも主を見送ることになります。
余談ですが、1番の「貴方“が”触れない私なら」は信長に手放されたことで長谷部が傍にいられなくなった心境と、2番の「貴方“に”触れない私なら」は長政様に手放されはしなかったけどいずれは別れの時が来てしまう、付喪神は人間の逝く先へは寄り添えないことを長谷部が知ってしまった心境、の微妙なニュアンスが上手いこと歌詞と被ったような気がしないでもないな…と個人的に思いました。
「数え切れない意味を~美しいかどうかも分からないこの場所で」
黒田家に代々伝えられて博物館にも移り、更に年月が過ぎていくわけですね。
歴代の持ち主に大切に保管・維持されてきたことは本当に幸運で有り難いことだと思います。
とはいえ道具としては持ち主に本来の用途で使われることが無い時代が続くのは何とも味気無い日々だったかもしれないな、と考えてセピア色調にしています。
「今でも」
ここでオンラインの舞台となる2,205年に到達し、政府から刀剣男士としての使命の為に目覚めさせられたイメージです。
再び自分を刀として振るう時代が到来したことで世界に色が付き、空の流星もオンラインの時限に至った、という環境の変化を表現しました。
「貴方が触れない私なら無いのと同じだから」
ラスサビの「貴方」は審神者に向けて、いつか本丸に顕現される日を待ち望んでいるイメージです。
1番と2番のサビ終わりは主を喪った悲しみから胸元の光(長谷部の覇気をイメージしていました)が無い差分を選んでいますが、ここでは再び今代の主として審神者に仕えることへの希望があるので胸元の光は灯ったままの差分を使って暗転することにしました。光と言えば、それぞれのサビで漂う光の粒子は長谷部のその時々の主に向けた感情の放出を表現しました。
1番は自分を手放した信長公への、2番は金象嵌で所持銘を入れてくれた長政様への、ラスサビはまだ見ぬ審神者への、それぞれの「主」という人間への思慕です。
(余談ですが、「思慕」を辞書で引くと「長引いている果たされていない願望」類語が「渇き・憧れ・憧憬・熱望」などが出て、ああ長谷部らしい単語だな…と思いました。)
また、最後の刀身が消えていく表現なのですが、実はこの星空の空間を長谷部の内面世界のような心象風景のような見立てをしていまして、ドロップや鍛刀によって審神者のいる本丸に(人型より先に)刀身本体が顕現した段階というイメージ設定をしています。
つまり、この内面世界の長谷部は審神者(=新しい主)のいる本丸で顕現するほぼ直前の瞬間で、最後に目を閉じたところから暗転するのは心象風景の終わり=この後は審神者の本丸での新しい生活が待っている、そんな内容にしています。
BOBO様に頂いた差分イラストがとてもとても素晴らしかったので私なりにイメージを膨らませて楽しく編集をさせて頂きました。
かなり自己解釈を膨らませてしまいましたが、イラストの美しさを損ねない動画になっていますようにと祈るばかりです…。
色々と詰め込んだものを書き出したのですっかり長文になってしまいすみません、ここまで読んで頂き誠に有難うございました!
2018/3/31 勇魚(いさな)